出産前から知っておきたい!ママと大切な赤ちゃんのための「産後ケア施設」

産後の無理は禁物!
産後ケア施設の手厚いサポートで赤ちゃんとしあわせな日々を送りませんか?

◆産褥期の心と身体◆

産褥期とは出産後6週間~8週間の期間のことを言います。
この期間は出産でダメージを受けた母体が妊娠前の状態にゆっくりと戻っていく期間であり、もっとも大事な時期でもあります。

出産は全治2週間ほどの交通事故に遭ったのと同じくらいのダメージを受けると言われており、さらには女性ホルモンの急激な変化で出産後のママの身体は心身ともにボロボロの状態です。

産褥期に無理をすると、身体の回復が遅れたり、情緒不安定になったりと、様々な問題を引き起こしてしまうリスクがあります。
また、「産後の無理は一生祟る(たたる)」という言葉もあり、医学的根拠はないものの、更年期障害がひどくなるとも言われいます。

とはいえ、産後ゆっくりと休息をとりたくても、頻繁な授乳にオムツ交換、泣き止まない赤ちゃんの対応、さらにはまとまった睡眠をとらない赤ちゃんとの生活で休息どころか寝不足の毎日ですよね。

私も2度の出産経験がありますが、1回目の産後はひどい寝不足で、情緒不安定になり涙が止まらず、2回目の産後は上の子のお世話で無理をして出血(悪露)が止まらなくなり産婦人科を受診したという経験があります。

この記事ではこれから出産を控えているママ、
すでに出産を終え、毎日赤ちゃんのお世話を頑張るママが無理をすることなく、かわいい赤ちゃんとしあわせな時間を過ごせるよう「産後ケア施設」について
紹介していきます。

◆産後ケアとは◆

産後ケアとは出産後、心身ともにダメージを受けたママにしっかりと休息をとってもらい。楽しく育児ができるようサポートすることで、サポートする施設を「産後ケア施設」と言います。

◆産後ケア施設のサポート内容◆

①ママの身体をサポート

・産後の回復(子宮、骨盤の回復や授乳による貧血など)についてのサポート
・休息、睡眠のサポート及びアドバイス
・栄養バランスの良い食事のサポート及びアドバイス
・骨盤ケア、ストレッチ等のアドバイス

②ママの精神的サポート

・女性ホルモンの急激な変化によるママの心のサポート及び相談
・マタニティブルーや産後うつ(イライラ、涙が止まらないなど)の予防

③赤ちゃんの育児をサポート

・授乳(正しい姿勢、授乳間隔、哺乳量など)のサポート及びアドバイス
・おむつ交換、沐浴、着替え、寝かしつけ等のサポート及びアドバイス

④専門家(助産師など)によるサポート

・育児についての様々な不安や悩みの相談

◆産後ケア施設の種類◆

産後ケア施設には民間が行っているものと、行政で行っているものがあり、種類は大きく分けて3種類あります。
尚、行政の産後ケア施設は助成金の使用が可能です。

①宿泊型(ショートステイ型)

ママと赤ちゃんが産後ケア施設に宿泊し必要な産後ケア、サポートを受けられます。

〈サポートを受けられる施設〉

・産婦人科
・助産院
・診療所
・産後ケアセンター
 ※産婦人科や助産院に併設されている宿泊施設
・産後ケアホテル
 ※家族も一緒に滞在できるホテルもあります。

〈こんな方にオススメ〉

・産婦人科を退院後、里帰りができない状況の方
・一人で赤ちゃんのお世話をしている、する予定の方
・家族の十分なサポートが受けられない方
・上の子もいてゆっくり過ごすことができない方
・早めに仕事復帰を考えている方
・産婦人科を退院するのに不安のある方
・なかなか身体が回復しない方
・まとまった休息、睡眠をとりたい方
・育児の悩みを相談したい方
・育児にストレスを感じている方
・リフレッシュしたい方
・産婦人科での入院を延長したい方
 ※行政と連携している場合に限る

〈金額の目安〉

民間一泊 約2万円~10万円程度
行政民間の約半額 ※助成金使用の場合
※行政では自治体の助成金の金額によって大幅に前後する可能性があります。お住まいの自治体に確認してください。

②日帰り型(デイサービス型)

日帰りで産後ケア施設に通い、必要な産後ケア、サポートが受けられます。
産後の身体に負担がかかる為、遠方の施設は避けるようにしましょう。
尚、日帰り型には個別型集団型があります。

〈サポートを受けられる施設〉

・産婦人科
・助産院
・診療所
・産後ケアホテル(日帰り)
・保健センター
・産後ケアセンター
 ※産婦人科や助産院に併設されている宿泊施設

〈こんな方にオススメ〉

・育児の悩みを相談したい方
・育児にストレスを感じている方
・リフレッシュしたい方
・育児仲間が欲しい方(集団型)

〈金額の目安〉

民間1回 約6千円~2万円程度
行政民間の約半額程度 ※助成金使用の場合
※行政では自治体の助成金の金額によって大幅に前後する可能性があります。お住まいの自治体に確認してください。

③訪問型(アウトリーチ型)

専門家(保健師、助産師、産後ドゥーラなど)が自宅に訪問し、必要な産後ケア、サポートが受けられます。
※産後ドゥーラとは産前産後のママをサポートするため、専門的な資格をもった女性のこと

〈サポートを受けられる施設〉

・保健センター
・産後ドゥーラ(民間施設)

〈こんな方にオススメ〉

・自宅で産後ケアを受けたい方
・移動手段がない方
・家を空けるのに不安がある方
 (上の子のお世話、家族の介護など)
・育児に不安やストレスを感じている方
・育児の悩みを相談したい方
・育児のサポートだけでなく、家事全般の助けを必要としている方
※家事のサポートは基本的には民間施設となります。

〈金額の目安〉

民間1時間 約2千円~5千円程度
行政民間の約半額程度 ※助成金使用の場合
※行政では自治体の助成金の金額によって大幅に前後する可能性があります。お住まいの自治体に確認してください。

◆産後ケアを受けられる対象者◆

サポートを受けられる対象は、産婦人科を退院後、心身の状態が不安定で育児に不安のあるママや、十分な休息が取れないママなど、出産後1年未満の助けが必要なママが対象になります。
※対象期間については施設、自治体によって異なります。

◆産後ケアの申し込みについて◆

行政の施設であればお住まいの自治体、保健センターにお問合せいただき、
民間であれば直接ご希望の施設にお問合せください。
行政の施設は助成金が使用できる為、予約が埋まってしまう場合がありますので、早めに確認、申し込みすることをオススメします。
※早ければ妊娠初期の時期から予約受付している自治体もあります。

また、回数や時間にも制限がありますのであわせてご確認ください。

◆自分でできるセルフ産後ケアのご紹介◆

出産後、ママが自分自身で簡単に心と身体のケアを行えるようセルフ産後ケアを紹介します。
産後ケア施設の利用を考えていないママも是非参考にしてみてください。

①休息

なんといっても、一番大切なのはやはり休息!
赤ちゃんのお世話で大忙しのママですが、絶対に無理をしない頑張りすぎないことが大切です。頼れる家族がいる場合は赤ちゃんを預け、少しでも多く休息をとってください。無理をせざえるを得ない状況になった場合は遠慮せずに産後ケア施設のサポートを頼るようにし、しっかりと休息をとりましょう。

②たくさん栄養を摂る

出産後の疲労回復、貧血や便秘予防に栄養バランスのとれた食事は心掛けたいところですが、一番はやはり無理をしないことです。
長時間、台所に立つのは身体にも大きな負担がかかります。
主食となる炭水化物でしっかりとエネルギーを補給することを意識しながら、
手軽に食べられるものから必要な栄養素を摂るようにするとよいでしょう。
鉄分が多く含まれ、貧血予防で効果が期待できる納豆や豆腐、さば缶、しらす。鉄分の吸収を助け、ストレス防止にも効果のある果物や野菜。
産後の疲れ切った身体にタンパク質が豊富な肉や卵。
また、授乳中のママはカルシウム不足になりやすいので牛乳やヨーグルトなどの乳製品も摂取するとよいでしょう。尚、水分補給も忘れずに。
手軽とはいえ、インスタント食品や冷凍食品は脂質や添加物が多く含まれるので避けるようにしましょう。

③骨盤ベルト

骨盤ベルトは出産時に開いてしまった骨盤を元に戻す効果があります。
出産前から使用できるもの、出産後すぐに使用できるもの、出産後、身体が回復してから使用できるものなど種類も様々です。
ママの体調に合わせて無理なく使用してください。
尚、帝王切開の方は傷に当たらないよう注意してください。

④授乳・ドーナツクッションの使用

授乳クッションを使用することによって、出産直後の頻繁な授乳による肩や腰の負担を軽減してくれます。
赤ちゃんのお座り時期にも使用できる定番の「U字型」や、授乳時だけでなく、妊娠中、抱き枕のように使用し、大きくなったお腹を支えてくれる「三日月型」。
授乳しながら寝てしまった赤ちゃんをそのまま寝かすことができる「Cカーブ型」など種類や用途も様々です。
授乳クッションとしての使用目的以外にどのような使い方をしたいか、
素材やへたりにくさ、洗濯のしやすさなどもポイントに選ぶとよいでしょう。

ママの授乳時の負担軽減の為に、授乳クッションはオススメアイテムですが、「使用時期が短いのでは?」と購入を迷っている方は、お手持ちのクッションやタオルをまるめて高さを出し、授乳クッション代わりにするだけでも負担軽減になるので試してみてください。
また、会陰切開の傷が痛む方は中央に穴の開いたドーナツクッションもオススメです。こちらは千円以下でも購入できるお手軽なものもあります。

⑤適度なストレッチ

産後すぐから始まる頻繁授乳や首のすわらない小さな赤ちゃんの抱っこで、
ママの身体は全身の筋肉が凝ってしまいます。
産後1ヶ月を過ぎ、身体の回復も順調であれば適度なストレッチを取り入れるのもオススメです。
YouTubeでは「肩こり解消ストレッチ」や「骨盤矯正ストレッチ」「産褥体操」など産後のママの為の動画がたくさんあがっているので、自分に合ったものを選んでみてください。
くれぐれも無理はしないでくださいね。

◆まとめ◆

核家族や、女性の社会進出の増加で、産後のママのサポートは今まで以上に重要になりました。
2017年には厚生労働省より「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」が公表され、「子育て世代包括支援センター(妊娠から出産、子育てに至るまでをサポートする施設)」 の設置が各市町村の努力義務化となりました。
また、民間の産後ケア施設、ホテルなども増えはじめ、日本全体で産後のママ、赤ちゃんをサポートしようという動きは広がっています。
しかし、産後ケア事業についてはまだまだ浸透しておらず、利用率は思うように伸びていないのが現状です。
産後ケア事業を知らないママもいる一方で、知っていても
「周りでサポートを受けている人を聞いたことがないし・・・」
「甘えと思われないかな・・・」
など、利用を躊躇してしまうママも多いのではないでしょうか。
一番大切なのは産後のママの心身の回復と赤ちゃんの健やかな成長です。
大切なかわいい赤ちゃんと楽しくしあわせな時間を過ごすためにも、
必要と感じたら、遠慮することなく産後ケア施設のサポートを受けるようにしてください。
ママの幸せが赤ちゃんの幸せです。


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